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※今の所、再制作の予定はありません。
【商品説明】
もこもこの羊毛100%を、染色しないナチュラルカラーのまま手で紡いで糸にし、はた織機で手織りした、無染色のホームスパンマフラーです。
織り柄はシンプルな綾織り。
染めない羊毛そのものが持つ自然な色の濃淡の揺らぎは、草原を歩いていた彼らを想起させます。
見るほどに深い色味の羊毛を、最大限感じることができる様に、シンプルに斜めに織り柄が走る綾織りを選択しました。
日本では白い毛の羊が多いですが、世界に目を向けると約3,000種類もいると言われる羊たちの中には、グレーや茶色の毛をもつ種類も少なくなく、実は彩り豊かな羊さん。
このマフラーでは、ニュージーランド産の茶色のコリデール種を使用しています。
自然の恵み、羊の恵みを最大限に活かした優しい表情です。
そしてなんと言ってもサイズ感が特徴です。
長く&幅を広く織り、ぐるぐるとボリュームたっぷり巻くこともできるし、あえて巻かずに垂らすだけでも格好良い仕上がりです。
旅する羊通常のマフラーは長さ約180cm・巾約23cmほどに対して、このワイド+ロングマフラーは長さ約228cm・巾約42cmと、ふた回り以上大きいサイズ感です。
世の中にもこういった大きいサイズ感のマフラーは販売されていますが、多くがアクリルやポリエステルなどの化学繊維で作られています。
考えられる理由の一つは「重さ」です。
一般的に、機械でウールを紡績(糸にすること)・製織してこのサイズ感のマフラーを制作すると、それはとても重くなってしまいます。
なので軽く仕上げるためにアクリルなどの化学繊維が用いられます。
と、ここで活きてくるのがホームスパン=手紡ぎ手織り特有の、空気をふわっと含んだ軽さです。
手織りは機械織りに比べ、タテ糸を張る力が弱く織ることができます。
張力が弱くて済むということは、糸に強度を持たせなくて良いということ。
それはつまり、撚りが甘く、羊毛本来のふわふわした風合いを残した糸で織ることができ、その糸で織るマフラーもやはり空気を含んだ軽い仕上がりになります。
だから大きいのに、軽いのです。
しかも”軽さ”の正体は繊維と繊維の間の空気であり、この空気の層が断熱材の役割を果たすので、身体から出る熱を保持します。
これが、ホームスパンが体温の様なあたたかさと表現される所以です。
ホームスパンだからこそ表現できる、大きくて軽いマフラーです。
足踏みの紡毛機と手織りばたを使い、カッタンカッタンと静かな音を纏いながら、ゆっくり丁寧に仕上げました。
まるであたたかい羊を乗せているような巻き心地の、ボリュームたっぷりなホームスパンマフラーを、どうぞお楽しみください。
【商品詳細】
長さ:約228cm(+房)
幅:約42cm
組織:綾織り
羊毛種類:コリデール種(ニュージーランド産)
品番:L-26-105
【洗濯方法】
ご自宅での手洗い、またはドライクリーニングが可能です。
手洗いの際は、40℃ほどのぬるめのお湯に中性洗剤を溶かし、優しく押し洗いしてください。
お湯を替えすすいだら、ネットに入れて単独で洗濯機で1分ほど脱水します。
形を整え風通しの良い場所で陰干しして下さい。
アイロンはあて布をし、触れる程度に浮かせながらスチームをたっぷりあてるとふっくら仕上がります。
※縮み(フェルト化)を防ぐコツは”低刺激”です。
「水温の急激な変化」「強い摩擦」「酸性やアルカリ性」を避けることがポイントです。
【その他】
・ひっかけ、虫食いにご注意ください。
【ホームスパン(Homespun)とは】
「家庭で(Home)、紡がれた(Spun)」と直訳されるホームスパンは、明治期にスコットランドから日本に伝来しました。
発祥地スコットランドで、飼育している羊の毛から糸を紡ぎ布を織り、家族の服を仕立てた家庭の営みが語源となっています。
日本には宣教師が伝えたとされ、岩手では現在の二戸市からホームスパンの物語が始まりました。
それまで綿や絹の織物を生業としていた職人が、新たな文化としてホームスパンの技術を習い、家庭や工房に持ち帰り、現在に至る系譜が生まれました。
時は戦争の時代に移り、軍服などに使う羊毛生地が輸入できなくなり政府が自国生産の政策を推し進めました。
それは全国の農家の冬の農閑期の副業とするもので、羊毛を紡ぎ織るホームスパンの生産が全国各地に広まりました。
戦後もしばらく、衣服は仕立てるのが当たり前の世の中で、ホームスパンは隆盛を極めました。
そしてこの頃、岩手県が全国で唯一、県政としてホームスパンの研究施設を作り研究員を配置、更に個人では買えない様な高額な大型の仕上機械を導入しました。
これにより質と生産量が飛躍的に向上し、「岩手のホームスパン」は全国にその名を轟かせました。
評判も上がり需要が増えれば生産体制も拡充するのが自然な流れ。
たちまちホームスパンは岩手の地場産業としての地位を確立しました。
この岩手県の取り組みが、現在の「全国唯一のホームスパン産地・岩手」に続くとは、きっと当時の誰にも予想できなかったことと思います。
順調そのものだったホームスパン産業に陰りをもたらしたのは高度成長期でした。
あらゆる産業の工業化が進み、大量生産・大量消費が世界のトレンドとなり、そのうねりは繊維業界も飲み込みました。
手しごとのホームスパンは急速に需要を失っていきました。
見た目の真新しさや、機能性の追求など、様々な手が尽くされましたが為すすべはなく、ホームスパン業界は主力商品を服地からマフラーなどのファッションアイテムに移すことで、何とか産業を繋ぎました。
時代の流れの前に、この手しごと産業は風前の灯火であることは誰の目にも明白でした。
しかし一方で、この文化が途絶えることはありませんでした。
作り手として、使い手として、岩手の人々がホームスパンを忘れることはなかったのです。
張力の強さが必須となる機械生産では損なわれてしまう、空気を含み羊毛らしさを残すふわっと軽くてあたたかい風合いと、親子三代使えると言われる耐久性の両立は、手作業による紡ぎと織りの工程だからこそ生まれます。
厳しい寒さの岩手ではこの特徴が必然的に歓迎され、また「糸を紡ぐ」「布を織る」という行為はヒトの根源的な営みとして作る悦びを伴い、経済活動とは別の次元で作る行為そのものが心を惹きつけます。
だからこそ、新しい職人の誕生や20代30代の若い購買層、体験や教室などの施設の新設…。それぞれ数は多くないながらも確実に現象として起きています。
「良いものを、大切に使い続ける」
そんなマインドが、大量生産の対極として根を伸ばしています。
どちらが良い悪いの二極構図ではなく、地球というフィールドで、植物や動物と共にあれるヒトの豊かさとして、工業と手しごとが共生できる選択の余白を、みんなで分かち合うことが許される。
ホームスパンはそんな存在の一つとして、次の時代に受け継がれていくことを願っております。